旅17日目 5月20日



午前7時半頃目覚める。
いつもはもっと早く起きるのだが、さすがに疲れがたまってきたか?
倉敷で1泊したのには訳がある。
以前、この町に面白い名前のバス停があるということをネットで偶然見つけ、
是非とも写真に収めたかったからだ。
車中泊をしたローソンから走ること15分、問題の両備バス「ヤットコ」バス停に到着。
昔、この辺りは傾斜が多い土地で、登りきった人たちが口々に「やっとこせ」と言ったというのが語源らしい。
ちなみに「ヤットコ」という地名を道路地図で探しても見当たらない。
正式な住所は「倉敷市連島町」で小字(こあざ)にも「ヤットコ」の地名は無かった。

また、同路線には「ドンドン」という、これまた珍名なバス停もあった。

※「ヤットコ」を掘り下げて紹介しているアツいサイトがあります。
私もこのサイトを見て今回訪問しました。

ようこそ!ヤットコへ


倉敷の珍バス停名その@ 両備バス「ヤットコ」 
道は県道275号線 (倉敷市連島中央:岡山)




倉敷の珍バス停名そのA 「ドンドン」
(倉敷市連島:岡山)



連島から県道274号で倉敷市の中心へ。
古い町並みが続く美観地区を散策。
運河沿いのしだれ柳が水面に映えていた。
こういうメジャーな観光地は早朝に訪れるに限る。


倉敷美観地区 (倉敷市中央:岡山)

倉敷から県道60号で浅口郡船穂町へ向かう。
船穂町には別段訪れたいスポットがあるわけではないのだが、
小さい町ってなんか好きなんだよね。
倉敷市と、高梁川を隔てた西側にあるこの町は人口7600人。
役場でもらったパンフを見ると「一の口水門」という運河の遺構が紹介されていたので、
行ってみることに。


一の口水門(船穂町:岡山)


運河の柵に、かわいらしい住人がいました

船穂から県道279号等で都窪郡清音村へ。
この村にある軽部(かろべ)神社は、一見すると田舎の何の変哲も無い神社に見えるが・・・?
中に入ってみると、壁一面おっぱいがいっぱい。
この神社は乳の神様として有名で、下の写真のように絵馬を奉納すると
乳の出がよくなるとか。


軽部神社(清音村柿木:岡山)


ぼくが飲んで〜 妹も飲んだのに〜♪

県道270号でお隣の山手村へ。
のどかな田園風景の向こうに五重塔が顔を見せている。



山手村から見た備中国分寺(山手村:岡山)  ※備中国分寺は総社市にある

岡山市に入り、国道180号に合流するとすぐに吉備津神社があった。
神社自体の歴史は相当古いようだが、現在の本殿は1425年に再建されたそうだ。
それでも相当な古さか。入母屋造りが二つ並ぶ屋根を持つ本殿は、
国宝に指定されいるが、この神社の一番の見所はなんといっても延々と続く廊下。
この回廊、長さはおよそ400メートル!


吉備津神社の長いながーい回廊

神社の前にあるお土産屋さんで、この旅初の「ペナント」をゲット。
まだあるところにはあるなー、ペナント。

国道180号で岡山市街北部まで走り、旭川沿いの県道27号をひたすら北上。
JR津山線の牧山駅のあたりで車を停め、草刈り中のおばあさんに旭川に架かる橋の場所を尋ねる。
「橋はあるにはあるけど・・・、クルマはムリだよ」

集落の路地を降りていくと、緑色に塗られた鉄板の橋が見えた。
全長はおよそ100メートル。幅は1.5メートル。昭和53年に渡し舟に変わる
地元民の生活道として架けられた。
この橋の存在はこちらのサイトで知りました。

「小さな橋の博物館」


正式名称は「大久保暫定潜水歩道橋」


この日の旭川は、前日までの雨で水量が多かった

旭川沿いの県道を数キロ戻り、新大原橋を渡り、赤磐郡山陽町へ入った。
ローカルな風景が一転、道幅は広くなり辺りは新興住宅地に。
と思いきや再び田舎道になったところで熊山町に突入。
この町はサクっとスルーして、お隣和気(わけ)町の「和気鵜飼谷温泉」に到着。


こんな立派な温泉が500円
風情もへったくれもないけど、安い立ち寄り湯は重宝します


県道96号で和気郡吉永町へ。
町の中心で県道261号線に移り、備前市に入ったところに閑谷(しずたに)学校がある。

1670年、池田光政が創設した庶民のための学校。
備前焼の瓦が美しい講堂(1701年)は、国宝に指定されている。



閑谷学校 講堂の周りから裏山にかけて全長756メートルの石塀が巡らされている
(備前市:岡山)


講堂の床は、顔が映るほどピカピカに磨かれていた

県道261号を南下、山陽の大動脈・国道2号に出て備前市街を通過。
途中で県道69号に移り、邑久(おく)郡長船町を通過、県道223号等で邑久町も抜け、
日本のエーゲ海」の異名を持つ牛窓町の港に到着した。
人口7600人の牛窓はオリーブの一大産地。エーゲ海とはそのあたりから言われるように
なったのだろうか。しかし僕が見た牛窓は、寂れた港町。
古い町並みが残ってはいるが、観光地化もあまりされていなく、落ち着いて散策ができた。


牛窓の漁港(牛窓町:岡山)

ふと、高台から瀬戸内海が見たくなった。
愛用のマップルを見ると、近くにほんのちょっと海に突き出た半島があって
「鯔網崎」と書いてあった。地図とにらめっこしながらクソ狭い道を走る。
これわ完全に農道だー、転回もできない・・・。海が見えるには見えた。
しかし道はまだ細々と続いている。行き止まりとはわかっちゃいるけど、
狭い道マニア(?)としては、道の顛末を確認せずには入られない!
その道は廃道の様相を見せつつ、結局海にでてジエンド。
粗末な小屋などがある殺風景な浜辺では、数人の漁師さん(?)が貝かなにかだろうか、を獲っていた。


鯔網崎付近の農道にて・・・(牛窓町)
なんて読むんだろ?「ぼらあみざき」? 検索してもヒットせずでした


マニアックな地元道を北に向けて走る。
途中、錦海湾の辺りで1キロほどの一直線のダートになった。
そういや今回の旅は全く砂利道走ってないなー。
今までの旅は観光地と自然の風景、そして山中の狭い道を求めて走っていたけど、
今回は完全に、建築物や町並みを巡る旅になっていた。
九州、四国、中国地方・・・、4年前も2週間ほどかけて走り周ったが、興味の対象が広がる、あるいは変わることで
以前は何も感じなかった場所が、町が、俄然魅力的なものになる。
旅の面白さは尽きることがない。

邑久町で「岡山ブルーライン」に乗る。この道はつい最近無料になった道路。
赤く染まった西の空を横目で見つつ走っていたら、トラックが煽る煽る。
たまらず駐車帯によけ、タバコを吸おうと外に出ると
そこには、なんとも美しい景色があった。


岡山ブルーライン 片上大橋の駐車帯から片上湾を望む
湾に浮かぶタタミみたいなのは牡蠣の養殖筏(備前市:岡山)


ブルーラインを備前インターで降り、国道250号線を東へ。兵庫県まであと少し。
岡山県最後の町、和気郡日生(ひなせ)町では、部活を終えた中学生たちが家路に急いでいた。

県境を越え、兵庫県赤穂(あこう)市へ。
「赤穂」という地名を知らない日本人はほとんどいないだろう。
街中を抜け、新興住宅地っぽい中を抜け、赤穂御崎に到着した。



赤穂御崎 伊和都比売(いわとひめ)神社より瀬戸内海を望む

赤穂市から再び国道250号を走り、相生市へ。
県道経由で、大動脈国道2号線に移る。
ここまで来たら、気合で走ったら翌朝には帰宅も可能だ。
でも、まぁ急ぐ旅でもなし、ゆっくり家路を目指しましょう。
揖保郡揖保川町龍野市を2号線は走りぬける。
この辺りに、有名な「揖保の糸」のそうめん工場があるらしい。
お中元の時期になると、毎年、神戸の叔母さんが送ってくれるんだけど、
この揖保の糸そうめんは、昔のお酒みたいに「特級」「上級」「中級」といった
ランクがあって、一番高級なものは本当に美味しい。
あー、食べたくなってきた。今これ書いてるの7月なんだけど、
実家には今年も届いてるのかなぁ。

この後、2号線で姫路市突入。
市内をウロウロしたり、「しなとら」とか言うラーメン屋さんに入ったりしつつ、
国道2号線別所パーキングエリアでおやすみなさい。


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